アカラシア

アカラシアは、"食道無弛緩症"とも呼ばれる病気です。

食道と胃の境目に食道下部平滑筋という筋肉があります。
食道下部平滑筋は普段は閉じていますが、
食べ物を食べると、この食道下部平滑筋は弛緩して(緩んで)
開き、食べ物が食道から胃に運ばれます。

胃で食べ物が消化される際は、食道下部平滑筋は収縮して、
胃の中身が逆流しないようにします。

しかし、なんらかの原因で食道下部平滑筋の神経細胞が
変性したり消失したりすることにより、食道下部平滑筋が
常に収縮した状態にあるのがアカラシアです。

常に食道下部平滑筋が収縮しているため、物を飲み込んでも
食べ物がいつまでも食道に溜まってしまいます。

日本では10万人に1人の発症率とされていますが、
原因はよくわかっていません。

ウイルスが関与しているとの説や、欧米型の食生活、
ストレスが原因との説もあります。


◼︎アカラシアの症状

上記の理由により、嚥下障害が最も一般的な症状です。
嚥下障害は、冷たい流動物の時に最も顕著に現れます。

嚥下障害といえば最も心配されるのは食道ガンですが、
アカラシアの発生は20~40歳台に多いため、
高齢者の嚥下障害では食道がんを、若年者の場合は
アカラシアを疑うのがセオリーのようです。

また、アカラシアの場合は、嚥下障害の程度の割に
体重減少が少ないのが特徴です。

その他の症状としては、げっぷや胸焼け、
胸のつかえや嘔吐があります。

この嘔吐は、"無胆汁性嘔吐"と呼ばれ、
寝ている間に食事や唾液が逆流し、朝起きるとシーツが
吐物で汚れているという症状です。

寝る直前に食事をしたり、仰向けで寝たりすると
起こりやすい症状です。

食物が胃に到達しない状態で吐き戻されるため、
吐物は胃液で消化されていず、食べたままの状態であり、
吐瀉物特有の臭いもないことが特徴です。

また、アカラシアは食道下部平滑筋だけでなく、
食道全体の働きが悪くなっているため、食道が異常に収縮し、
胸が強く痛むこともあります。
この痛みは、半数近くの方に起こると言われています。


◼︎アカラシア診断法

アカラシアの診断は、食道X線造影、内圧検査、内視鏡により
行われます。

・食道造影‥食道造影とは、バリウムを飲み、それが食道を
通過する様子を観察する検査です。

・食道内圧測定‥カテーテルという中空の柔らかい管を食道内に入れ、
食道の内圧を測定します。

・内視鏡‥アカラシアは運動障害のため、後期になるまでは
内視鏡でも異常が見られないのが特徴です。
症状が重くなると、食道内に食べ物が滞留することによる
食道の拡張や異常な蛇行が見られるようになります。
初期~中期では異常が見られませんが、食道壁にがんや腫瘍がないかを
確認するための大切な検査です。
アカラシアが更に悪化すると、潰瘍や腫瘍ができたり、さらには
それらが悪化して食道がんを併発することもあります。

・高分解マノメーター‥HRMと略される検査方法です。
食道内圧測定をより進化させた検査方法で、
従来は難しかった胃までの連続した圧測定が、
簡便にできるようになりました。


◼︎アカラシアの治療法

・薬物療法‥食道下部平滑筋の圧を下げる作用のある
カルシウム拮抗薬や亜硝酸製剤を投与することがありますが、
カルシウム拮抗薬は血圧を下げる作用があるため、
低血圧の方には向きません。
また、これらの製剤はあまり効果的ではないため、
積極的には薬物療法は行われません。
症状の悪化を遅らせる程度の効果しか期待できません。
他の治療法を始めるまでのつなぎ的な位置付けです。

・内視鏡下バルーン拡張術‥内視鏡を用い、食道下部平滑筋の
部分をバルーンと呼ばれる、ちょうど風船のような器具で
広げてあげる治療法です。
症状が比較的軽い方には有効ですが、効果は一時的で、
根本的な治療にはなりません。

・腹腔鏡下手術‥最も確実な治療法です。
食道の通過障害を取り除くために食道の筋肉を切り開き、さらに、
食道と胃のつなぎ目の噴門部から胃液の逆流を抑えるため、
胃の一部を用いて食道に覆いをつける逆流防止手術を同時に行います。


◼︎アカラシアに似た病気

アカラシア同様食道等の蠕動運動障害による病気には、
強皮症、皮膚筋炎、神経疾患(筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症)があります。

咽頭や食道の狭窄による病気には、食道がん、食道潰瘍、縦隔腫瘍、噴門部胃がん、
Pulmmer-Vinson症候群があります。



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